2019.06.12 二重国籍
世界には大きく分けて、二重国籍を容認する国と容認しない国があります。日本は基本的には後者の国となります。基本的にと言いますのは、国籍法第5条の5で帰化をする一つの条件として“国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。”しています。また“第11条で“日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。とし第12条で”出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時に遡って日本の国籍を失う。としていますので、基本的には二重国籍を容認していないのですが、第14条では、“外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が20歳に達する以前であるときは22歳に達するまでに、その時が20歳に達した後であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。”としており、両親の一方が外国人の場合で生まれながらにして外国籍も取得した場合や、出生地主義の国(アメリカ等)で生まれ、両親の国籍とは関係なくその国の国籍を取得した場合は一時的に二重国籍を容認しているのですが、上記のようにある一定の年齢または時期になれば国籍を選択しなければならないこととなっています。
では、世界の趨勢はどうなっているかといいますと、2011年の国連調査によると加盟国196か国のうち制限なく二重国籍を認めている国が53%で条件付きで認めている国が19%で合わせると73%になり、世界の趨勢はどうも二重国籍容認国が多いようです。
これに関連して、現在(2019年6月)興味深い訴訟が進行しています。さまざまな理由や事情により、外国籍を取得した(元)日本人が国籍法11条1項の“日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。”とした国籍法は憲法13条の「国民の幸福追求権」や憲法22条2項が保証する違「国籍離脱の自由」に反し違憲だと、主張し国籍回復を求める訴訟を起こしています。
現在、グローバル化が進み、国際間の人の移動がかなり頻繁に行われていますが、日本の国籍法ができたのが、かなり昔であり、大きな改正は行われずに、これまで維持されてきたのですが、現在の国際情勢に即したありかたを議論するときではないかと思います。