2020.12.04 新型コロナウィルスによる外国人の入国制限に関する所感
新型コロナウィルスの拡散を防ぐ目的で、日本は多くの国の外国人の入国制限を2020年4月から実施しましたが、その中には永住者も含めた日本で暮らす住民である外国人も含まれました。この件に関し、多くの日本在住外国人から非難の声があがりました。当事務所のクライアントの外国人からも、これを非難する声を多く聞きました。また、この外国人の入国制限に関しては、特別永住者は除外されており、日本人と同じ扱いで、入国が許されていました。
日本も加入しているG7の加盟国の中では、住民である外国人と自国民をこのように明確に区別して、外国人のみを入国制限した国はないとのことでしたが、この件に関し、日本に住む外国人記者が流暢な日本語で茂木外務大臣に日本で住んだり働くための正式な在留資格を持つ外国人が再入国できないのは、どんな科学的根拠に基づくものですかと、質問をしたところ、茂木大臣は明確な回答を示さず、出入国管理の問題ですから、出入国管理庁にお尋ねくださいと答えを濁しました。そして前述したように、この住民である外国人に対して、入国制限を課したことは、日本在住外国人や海外から多くの批判を受け、日本は2020年9月からは、日本在住外国人の再入国を原則として認める方向に変更しました。
今回のようなウィルスによる入国制限は稀なケースと言えるでしょうが、今後このようなことが再度発生しないとは限らないと思います。ウィルス以外の原因により、外国人に再度、なんらかの入国制限がかかる可能性は当然、否定はできないわけですが、今回のことで考えさせられたのは、やはり日本で住むための最強の資格は日本国籍であるということです。いわゆる在日韓国人や在日朝鮮人と言われる特別永住者はその歴史的経緯から日本で住んでいくことにおいて、制度的区別や不利益は現在でこそ少なくなっているとは言え、大きな問題としては参政権の問題があり、いまだにこれは地方選挙のレベルにおいても参政権が認められていません。近い将来これが認められる可能性は少ないと思います。また、公務員となる道も実質的には大きな壁があり、これも近い将来、大きく改善されるとは考えにくい状況です。
今回のことからわかるように平時においては日本人と外国人の待遇の区別というのは明確に見えないことがありますが、外国人は特別永住者と言えども、もろもろの法律上、制度上の制限を受ける立場であるのだなということです。